腎のうつ

2019.05.01

候の変化が大きい今日この頃。のどかぜの流行もみられるようです。どうぞ皆様ご自愛くださいませ。

 

さて、本日のテーマは『腎のうつ』です。

漢方で『腎』とは、生命エネルギーの源。この生命エネルギーのことを腎精といい、うまれながらに人それぞれの量がありますが、常に消費され、食べ物を摂取っすることで補充されます。

 

『腎』が障害されると、この生命エネルギーの不足が起こり、疲労・倦怠、のぼせ、ほてり、不眠、寝汗、口や喉の乾燥、便秘、記憶力の低下、耳鳴り、難聴、性欲減退、月経不順などがおきてきます。

 

腎の障害では、特に疲労倦怠が強いので、『腎のうつ』は「疲れ切りタイプ」ということができます。

 

この腎のうつは、長年うつに苦しみながら、徐々に生命エネルギーを消耗していますので、慢性うつ病の方に多く見受けられます。

 

この、腎のうつに効果的な漢方薬としては

 

口渇、乾燥、ほてり、のぼせ、ふらつく場合は六味丸(ろくみがん)

 

冷えが強い場合は八味地黄丸(はちみじおうがん)

 

むくめば牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)

 

咳が長く続く場合は滋陰降火湯や滋陰至宝湯などがあります。

 

慢性うつ病が今一つ治らない場合、回復の一助となれば幸いです。

 

 

悠 心身クリニック   院長  中澤 武志