「食欲がなくて吐き気がします」

2019.05.21

5月のさわやかな気候のようにこころもさわやかにいきたい、でもなかなか現実はそうはいきませんよね。

 

この連載は、悠心身クリニックでの治療経験をもとに院長のわたくしが少しでも皆様のお役に立てればと漢方を中心としたお話をさせていただいております。

 

さて、今回のテーマは「食欲がなくて、吐き気がする」です。

 

胃腸に検査で異常がないのに、食欲がなく吐き気がする場合、それは『肝気横逆』である可能性があります。

 

横逆とは「わがままで横暴である」という意味。つまり、ストレスを受け止めた「肝」が胃腸を意味する「脾」を巻き込んで働きを悪くさせているということです。

 

かのイチロー選手も大記録を前にプレッシャーで吐き気と嘔吐が止まらなかったとのこと。誰にでも起こることです。

 

肝気横逆の症状は他にも「げっぷ」や「腹痛」「下痢」「お腹が鳴る」などがあります。

 

この状態を治す方法は『疏肝解鬱(そかんかいうつ)』と言い、肝の気の流れをよくすることです。

 

肝の気の流れをよくする漢方薬には主に柴胡(さいこ)という生薬が含まれます。

 

具体的には、四逆散(しぎゃくさん)、小柴胡湯(しょうさいことう)、 大柴胡湯(だいさいことう)、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)、加味逍遙散(かみしょうようさん)、加味帰脾湯(かみきひとう)などです。

 

それぞれに詳しい適応症状がありますのでその他の症状を観察して処方を選択していきます。

 

身近ながら意外に多い、食欲不振と吐き気。胃薬では改善しなときもぜひご相談ください。

 

 悠心身クリニック  院長  中澤 武志