漢方の寒と熱
2019.08.08
z外は酷暑、部屋の中は冷房で寒いくらい。体調管理がむつかしい世の中です。
ところで、古代中国では物事を対極にある二つの概念に分ける世界観があります。中国で生まれた漢方にも応用され、特に『寒』か『熱』か、の判断は重要です。
例えば、
常にイライラして怒りっぽいときは『熱』が旺盛。顔が赤く、のぼせやすく、舌に黄色い苔がついていることもあります。
反対に、くよくよして落ち込みやすいのは『寒』で冷えている証拠。冷え性だったり、ストレスでお腹をこわしやすい傾向があります。
では、イライラして爆発して落ち込むのは? イライラが発散されて、こもった『熱』が放散されたことで一気に『寒』になると考えられます。寒と熱が間欠泉のように入れ替わる、気滞と言えるでしょう。
漢方治療では皆さんのからだのなかで、寒と熱がどのようなバランスになっているかをみていくことが重要なのです。
熱が旺盛なら黄連解毒湯などの清熱剤を、寒が強い時は人参湯などの温裏剤、熱こもりには四逆散などをイメージしながら漢方薬を考えていきます。
からだに合った漢方薬を探せると長年の不調がスッキリすることも珍しくありません。
時々自分のからだを観察して、寒と熱の視点から不調の原因を考えてみてもいいかもしれません。
悠 心身 クリニック 中澤 武志