スペイン風邪と漢方

2020.03.28

毎日、新型コロナウイルスの話題で不安な日々を送られている方も多いと思います。歴史を紐解けば、奇しくも100年前に世界中で大流行した感染症がありました。通称「スペイン風邪」。日本国内でも多くの方がなくなられたとの記録が残っています。

 

100年前と言えば、まだ電子顕微鏡もなく感染症の原因ウイルスの特定もできなかったはず。当時の人々の恐怖は計り知れないものだったでしょう。

 

そんななか、当時の漢方医『木村 博昭』医師は自身の患者から一人も死者をさなかったと言い伝えられています。

 

そして、木村医師が当時積極的に使用していたと思われる漢方が柴葛解肌湯ウイルス感染の初期で悪寒、頭痛、身体痛、発熱、口苦、首のこわり、食欲不振、吐き気などがある場合に効果を発揮します。

 

スペイン風邪のような強力な『邪』は体表から一気にからだの奥に侵入します。したがって症状が出たと思ったらすぐに体表と体内の邪を追い払わなければならないのですが、この柴葛解肌湯が当時の人達の体質にあったのでしょう。

 

自身が感染する恐怖のなか、目のまえの患者さんの症状と自身の感性を頼りに治療を行い、効果を上げた当時の漢方医に尊敬の念を禁じえません。同時に、温故知新、スペイン風邪の教訓が今に活かされることを期待したいものです。

 

悠 心身クリニック   中澤 武志