心に刻む 3・11

2021.03.11

東日本大震災から10年。いまだに癒えぬ心の傷と不安で眠れない日々を送っておられる方々が多くおられると聞きます。

 

私自身も一週間避難所をめぐり、被災者の方々の支援活動に携わったことがあります。被災者の方々が身を寄せ合って、不安と絶望の中で日々を過ごしておられました。

 

恐怖の体験は身体が覚えています。

 

ふいに動悸がして口が渇き、手足が冷えて首や肩甲骨周りが痛くなる。眠れずに、周りのひとに気を使って精神的にも疲弊して・・・

 

当時のわたしはそんな方々の話を伺うしかできませんでした。

 

漢方を学んでいる今なら、もうすこし被災者の方々に貢献できたかと当時を思い出します。

 

当時の避難所でもっとも多く使われた漢方薬が『柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)』でした。

 

いつまた、地震が来るかどうかわからない状況で常に気を張って、緊張して眠れない状態の改善に効果があったのでしょう。

 

 

いま、仕事や学校、さらに日々の生活の中でも不安や恐怖におびえながら必死に生きておられる方々がおられます。

 

 一日一生、今日という日だけを必死に生きる。

 

 その毎日の連続の中に漢方薬でお役に立ちたい。

 

そんな思いを強くした10年目の3月11日でした。

 

悠 心身クリニック   中澤 武志